実測レポート / 東京23区・延床32坪・オール電化・大人3人+ペット1匹

一条工務店で14か月暮らして、
電気代は実質539円でした。

539

2025年6月〜2026年7月の14か月合計
電気料金 100,754円 − 売電収入 100,215円

夫婦と義母の3人暮らし。日中も在宅者がいるため、エアコンと床暖房は24時間つけっぱなしです(春と秋だけ一時停止)。留守がちな家の数字ではありません。電力モニターの実測値と検針票を毎月記録しているので、都合のいい月だけを切り取ってもいません。設備の見積額、回収年数、10年後にどうなるかまで全部載せます。

1. 月ごとの収支

縦線が「支払いゼロ」。左に伸びた月は売電が電気代を上回っています。

持ち出しあり 売電が上回った月
−11,000円0+11,000円

年間の持ち出しは、12月・1月・2月の3か月にほぼ全部集中しています。この3か月だけで約31,000円。逆に4月と5月は、売電が電気代を1万円前後うわまわります。

2. 電力量の実績

単位はkWh。日別データ426日分を積み上げたもので、月合計は14か月すべてモニター表示と一致しています。

年月発電消費売電買電蓄電池充電

1kWあたり、年間どれだけ発電したか

直近12か月(2025年8月〜2026年7月)の実測

1,147 kWh / 1kWあたり・年

年間発電量11,799kWh ÷ 搭載10.29kW。住宅用の一般的な目安は年1,000〜1,200kWh/kWなので、その上限に近い値です。屋根一体型で面積を大きく取れることと、東京の日照条件が効いています。

同じ12か月で、家全体の消費は8,167kWh、うち買った電気は2,311kWh。電力の71.7%を自給できている計算です。発電した電気の約46%は売電に回っています。

3. 設備と、かかった金額

この数字が出ている条件です。

太陽光パネル
10.29 kW
245W × 42枚
パワコン出力
9.9 kW
10kW未満に制限
蓄電池
7.04 kWh
延床面積
32 坪 / 2階建て
給湯
460 L エコキュート
ガス契約
0 円(なし)

使っている家電

消費8,167kWhが「どういう暮らし方の数字なのか」がないと比べられないので、主なものを挙げます。

この中で数字を一番動かしているのは、エコキュートの昼間沸き上げです。

給湯は多くの家で単独最大の負荷です。この家は湯船を溜めないぶん給湯量が少なく、年1,200kWh前後と見ています(中間期の日別消費が最小11.5kWh・中央値17.4kWhで、その差が沸き上げ1回分とほぼ一致することから推定)。

これを深夜に沸かせば全量が「買う電気」になりますが、昼に沸かせば太陽光が出ている時間帯なのでほぼ自家発電でまかなえます。設定ひとつで年1.5万〜2.5万円の差。設備を増やさずにできる変更としては、いちばん効きます。

設備の見積額

一条工務店オリジナルの「太陽光&蓄電池パッケージ」(雪止付)で、2,044,800円(税抜)。税込で約225万円です。太陽光と蓄電池がひとまとめの価格なので、以下の比較は「この設備一式のありなし」になります。

4. 設備なしなら、いくら払っていたか

太陽光も蓄電池もない場合の電気代

約27 万円 / 年

家全体の消費8,240kWhをすべて買電した場合。従量単価31円+基本料金で計算しています。

実測では年間ほぼ0円だったので、差額は年およそ27万円。この差が、設備費225万円を回収していく原資になります。

5. 回収年数

条件回収期間
旧FIT(売電15円・10年一律)※わが家8年4か月
新FIT(最初4年24円→5年目以降8.3円)8年2か月

2025年10月から始まった「初期投資支援スキーム」で、いま設置する人は最初の4年間が24円になります。ただし5年目以降は8.3円まで落ちるため、10年平均では約14.58円。わが家の15円とほぼ同じで、回収年数の差は2か月しかありません。この制度が本当に効くのは、24円の期間中に回収を終えられる場合です。

15年時点では約160万円のプラス、20年ならパワコン交換(30万円前後)を挟んでも約240万円のプラスになる計算です。なお東京都と区の補助金を受けられる場合、実質負担が下がるので回収はこれより大幅に早くなります。

6. 10年後(卒FIT後)はどうなるか

2035年に固定買取期間が終わります。売電単価だけを差し替えて計算しました。

卒FIT後の実質電気代(売電8円で試算)

約40,000 円 / 年

売電収入が年85,900円から約45,800円に減るため。売電7円なら年46,000円、9円なら年35,000円。電気料金の値上がりを織り込むと年5〜6万円が現実的な範囲です。

いまの実質539円を成立させているのは売電収入なので、そこが下がると持ち出しに変わります。ただし電気代が上がるほど「売るより貯めて使う」価値も上がるため、卒FIT後は蓄電池の役割が大きくなります。

蓄電池をもう1台足すべきか

426日分の日別データで計算しました。日ごとに「売電した量」と「買った量」を突き合わせ、両方が同じ日に起きている分だけを積み上げています。余剰が出ていない日は容量を足しても意味がないので除外し、充放電ロス1割と使用可能容量6.34kWh(10%残し)も反映しました。

2台目の蓄電池が実際に吸収できる量

1,216 kWh / 年

売電と買電が同じ日に両方発生していたのは426日中388日(91%)。ほぼ毎日、余剰を売りながら別の時間帯に買っています。

前提年間効果15年の累計
現在(買電34円・売電15円)23,100円34.7万円
卒FIT後(買電34円・売電8円)31,600円47.4万円
卒FIT後+電気代3割高43,800円65.7万円

つまり自己負担が47万円を下回れば回収でき、超えれば損という線が引けます。

そして中身を見ると、2台目は冬のための投資でした。効果が最大なのは1月の150kWh。買電が多い冬ほど吸収の余地が大きく、逆に4〜5月は売電が豊富なのに買電がほとんどないため35〜45kWhしか働きません。2台目が満杯になる日は年94日だけで、残りの270日は容量を持て余します。

7. 30年で見るとどうなるか(ここからは試算です)

ここまでは実測値です。この節だけは前提を置いた計算なので、分けて読んでください。

まず、かかるメンテナンス費用

項目時期費用
定期点検4年ごと・計7回140,000円
パワーコンディショナ交換15年目250,000円
蓄電池交換—(下記のとおり交換せず劣化で運用)0円
30年の合計390,000円

最初の10年はほぼ保証の範囲で、実費が出るのは点検くらいです。大きい出費はパワコン交換で、15年前後に20〜30万円。

蓄電池はいつ寿命が来るのか

実測では年2,513kWhを充電しており、実効容量6.34kWhで割ると年396サイクル。ほぼ1日1回転です。仕様上の12,000サイクルには、30年経っても到達しません(累計11,880回)。

つまり先に効くのはサイクル数ではなく時間経過(カレンダー劣化)のほうです。年1.5%で見積もると、容量はこう推移します。

経過累計サイクル実効容量低下率
10年3,9605.53kWh13%
15年5,9405.13kWh19%
20年7,9204.76kWh25%
30年11,8804.09kWh35%

「寿命が来て交換」ではなく、少しずつ効きが落ちていく形です。交換費用(80万円前後)より劣化による損のほうが小さいため、この試算では交換しない前提にしています。

30年の累計

電気代の想定回収時期30年の累計
据え置き9年目+380万円
年1.5%ずつ上昇9年目+493万円
年3%ずつ上昇9年目+642万円

設備費225万円とメンテ費39万円を引いた後の数字です。8〜9年で回収して終わりではなく、その後20年以上ずっと得をし続けるという構図になります。

この試算が置いている前提
・電気代が30年間、想定どおりに推移する
・パワコン交換が15年目に25万円で済む
・蓄電池のカレンダー劣化が年1.5%におさまる
・パネルの出力低下が年0.5%におさまる
・30年間、同じ家に住み続ける

どれか一つ外れれば数字は動きます。実測と呼べるのは539円のほうだけで、この節は前提の上に立った計算です。幅を持って見てください。

8. この数字をそのまま信じないでください

条件が違えば結果も変わります。同じ数字が出るとは限らないので、契約前には必ず施工会社の試算と突き合わせてください。